決定的瞬間のための習作

2015-, 、バライタ紙

モチーフのペット・ボトルは潰されたりねじ曲げられたりしながら、ときにはボトルの中にさらにもうひとつのボトルが入れ子人形のように入り込んでいたり、形は歪んで倒れてしまいそうだが、しかしそれでも容器としての体裁は保っている。
これは「写真作品」というよりもオブジェ作品を撮影した「作品写真」といえるのだろうか。いやしかしこの作品をよく見れば見るほど、ペットボトルの素材は限りなく写真的なモチーフに見えてくるのだ。透明なプラスチックの素材は視覚的にはほとんど存在感がない。その表面のぬるりとした光の反射だけがシルエットと形を作りあげているからだ。実に細やかな光の反射の粒まで、この存在するかしないかのオブジェに形をあたえている。
ボトルの口からは液体が噴出したような感じでうす緑色の絵の具で銀塩写真の上に直接ペインティングされている。
そしてこのうす緑色の液体のような部分にこそ瞬間写真というタイトルを表象する鍵が秘められている思うが、それにも増して印象に残るのが動きを持った構造物自体なのだ。この作品は『Muybridge’s Twist』で試みられた身体コラージュ作品の立体バージョンといえる。つまり「身体」であれ「ペット・ボトル」であれこの作家にとっては同列に語れる主人公なのだ。なぜならボトルの身体は身体のシリーズ同様に大きくねじ曲げられて、強いムーブメントが振付けられそれはまさに「Twist」する写真となっているではないか。

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Paris