液体とコップ

1994, ゼラチンシルバープリント, バライタ紙, 115 x 115cm (and 60 x 50cm) 全34点

1993年に移住したパリで初めて制作したシリーズ。コップを倒しこぼれ出た液体をクローズアップで撮影した。液体は表面張力により盛り上り、いまにも流れ出しそうな状態のまま静止している。実際よりはるかに拡大して見せることで、日常のありふれた光景のなかに潜む小宇宙的なイメージを意識させた。また、透明なガラス板に流れる形を持たない液体はただ光の反射のみでその存在を現している。薄暮の光を繊細に操った画面は、「光の絵 (Photography)」としての写真の本質を認識させる。1995年に東京の3つのギャラリーで発表された「Down 3部作」のひとつ。

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Paris