Roma—Roma

2004, 油彩, ゼラチンシルバープリント, バライタ紙, 全108点

ローマという名をもつ2つの土地をステレオ・カメラで撮影した作品。最初に、ステレオ・カメラの2 つのレンズの片方を塞いで (フィルムの感光を防ぐため)、スウェーデンのバルト海の島にあるローマの風景を108枚撮影したあと、フィルムを巻き戻し、今度は反対のレンズを塞いで、スペインにあるローマに移動してさらに同じフィルム上に108枚を写した。2点の組み合わせは撮影した時系列にそったもので、偶然にすぎない。写真も選ぶことをせず、撮影した108組のモノクロ写真すべてに油絵具で手彩色し、19世紀の観光ブームで量産された土産用写真を模倣した。「写真を撮るために移動するのではなく、移動するために写真を撮る」とオノデラが語るように、この作品では「移動」そのものがテーマであり、被写体の選択、気に入ったカットの選択など写真家としての自明的な表現行為はことごとく否定されている。そこでは色さえも記憶の色であり、記録性を持たない。

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Paris