P.N.I.
1998-99, ゼラチンシルバープリント, バライタ紙, 全30点
大画面に浮かぶ人間の顔らしきイメージは、雑誌や新聞に掲載された肖像写真から顔の部分をばらばらに切り取り、そのパーツを粘土の立体的な土台の上に貼付けて撮影された。極端なバランスで切り貼りされた目、鼻、口。元の人物から離れた新しい顔をそれと判別のつく限界までピントをぼかすことで、他者を曖昧なまま認識し自分の良いように再構成してしまう人間の視覚的習性と、その危うさを暗示している。タイトルはオノデラの造語で「未確認肖像写真 (Portrait Non Identifié)」の意。同時に発表された〈C. V. N. I.〉では粗粒子で表現したが、本作はプリント技術で粒子のない滑らかな画質に仕上げられている。