Transvest
2002, ゼラチンシルバープリント, バライタ紙, 全22点
2002年に制作が始まり現在も続くシリーズ。実際の人物ではなく、新聞、雑誌等に掲載された既存のイメージを切り抜き、逆光で撮影したものだ。さらに目を凝らしてみると、シルエットは単なる影ではなく、その中には多種多様なイメージの断片が詰め込まれている。
それらは山の斜面であったり、あるいはバロックの装飾、湖の波紋、キャンディー、廃墟、インディオの入れ墨、群集、車、昆虫、祭り、風船の割れる瞬間…などである。《Krio》、《Rosa》などと名づけられた人影は、 かろうじて判別できる程度まで暗く色調を落とした多種多様なイメージの集合体であり、そこには時間と空間を超越し、世界を内包する身体が等身大のプリントとして作り上げられている。