ACT

2015-, チャコール, クレヨン, 写真, キャンバスコラージュ

Actシリーズでは主題は身体から飛び出し外界へと向かう。まずは建築である。
オノデラの初めての建築写真だが、これは限りなく身体性を内包した建築写真と言えまいか。
『Act-1LENINGRAD』は旧ソビエトの建築やその他の、それほど有名ではない建築物がいくつか寄せ集められてキャンバス上にコラージュされ、さらに木炭などで濃淡をつけて仕上げられている。ほぼ同じ手法で作りあげられた、『Muybridge’s Twist』のねじれる身体と連想して見ないわけにはいかない。
この建築のようなオブジェはねじれるというよりは、まるで骨をぬかれたかのようにブルブルと震えているようだ。
建築物の外と内の境界は曖昧なままコラージュされているので、バランスを欠いた建築物は見る側にめまいを起させる。建築の最終的な宿命「廃墟」をも彷彿させるが、暗鬱耽美なロマン主義的廃墟ではなく、オノデラらしい何ともユーモラスな作品である。

一方、現実の建築を見てみれば、脱構築的なものから奇想天外のものまで、経済成長が作りあげた欲望をそのまま建築化したような建物を世界中あちこちで見ることができる。このコラージュ作品のように一見脱構築を施した建築物もある。しかしこの作品でオノデラは「リアル」な建築物でなく、むしろリアルさを示してしまう様々な断片や表層を剥ぐようなことによって建築を作品化しているのではないか。例えるなら建築物を洗濯機にでも投げ込み、出てきたものにもう一度息を吹き込むような、そんな感じの読み替えを写真とコラージュで試行しこの作品が出来上がってきたように思える。そして『Muybridge’s Twist』のムーヴメント、コレグラフィーもその核となっていることも確かだ。

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Paris